敗者の剣
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閲覧ありがとうございます!
先日参加した、まる@ロリさん(@maru_kusa)主催の「カミツルギ1on1」についての記事です。
最近特殊ルールのモチベが高いので、前回参加した「ミノマダム1on1」に引き続き、参加を決めました。カミツルギはフォルムが1通りしかなく、シングルダブル問わず使用率が高いポケモンであるため、ミノマダムよりかは短時間に考察ができそうだと気楽に臨みました。
考察の結果、相手が特殊型ならそのめざ炎+真空波を、相手が物理型ならその聖剣+真空波を耐えるように、オッカの実とHBD調整によって行動保障を得て、逆にこちらのめざ炎+真空波で相手を倒すHBDオッカ剣が最強だと考えました。
しかし、実際の大会では予選を抜けたあとすぐあっけなく負けてしまい、優勝した型はCS襷剣を完全に切ったHD弱保剣でした()
◎大会の説明
※素敵なイラストはおかゆさんの作品から拝借しました。ご快諾ありがとうございました!
ルール発表:2018年5月29日(火)(開催11.5週間前)
開催期間:2018年8年18日(土) 21:00~
ルール:形式はシングル11。レベルは50固定。使用可能ポケモンはのみ。持ち物について、Zクリスタルのみが禁止されている。また、今大会はリーグ予選➔上位2予選名抜け➔決勝トナメ、という形で進行される。
◎ステータスの確認
Part.1 種族値の確認
メジャーポケモンなので改めて確認する必要もない気がするが念のために。
やはりCとDが非常に低い。物理技より特殊技で殴り合ったほうがよさそうか?
Part.2 有用な技の確認
物理技:聖なる剣、ギロチン
特殊技:真空波、めざパ炎
回復技:光合成
ランク変化技:剣舞、瞑想、鉄壁
ここから、以下のようなことがわかる。
1.基本技に、2倍弱点を突ける優秀な先制技である真空波がある。
2.基本技に、2倍弱点を突ける物理技である聖なる剣がある
3.技マシンで、4倍弱点を突ける特殊技であるめざ炎を覚える。
4.ピカブイでのエボルZやミノマダム1on1での蝶舞のような、対面を大きく有利にできる積み技が存在しない。
5.そもそも覚えられる技が少なすぎる()
物理型にして聖剣で殴るか、特殊型にしてめざ炎で殴るかでまず悩む。ただ覚えられる有用な技が圧倒的に少なくて技枠が有り余るので、どちらにせよ真空波が採用されることは間違いない。
◎最善な型の考察
Part.1 ダメージの確認
まず参考として実数値をまとめてから計算をする。
A180の聖剣:67.1%〜80.5%
A233の聖剣:79.1%〜94%
C71のめざ炎:95.5%〜113.4%
C79のめざ炎:104.4%〜125.3%
C111のめざ炎:149.2%〜176.1%
ここから、
①物理型の聖剣より特殊型のめざ炎のほうが、相手に大ダメージを与えられる
②そもそも相手の攻撃を2耐えするのが難しそうだから積み技を使う暇がなさそう
の2点がわかる。
Part.2 持ち物による分類
有用な持ち物の候補として、
火力増強アイテム:拘り眼鏡、拘り鉢巻、命の玉、達人の帯など
行動保障アイテム:気合の襷、突撃チョッキ、オッカの実、ヨプの実など
が挙げられる。
持ち物によって、大きく持ちのアグロ剣、持ちの襷剣、持ちの耐久剣の3種類に分けることができる。次に、それぞれの型について考察する。
1.アグロ剣
アグロという言葉の意味はよく理解してないけど、響きが気に入ったのでとりあえずこういう名前で()
Part.1からわかるように、耐久無振りだとC79のめざ炎ですら確定で落ちてしまう。よって、持ち物による行動保障がないアグロ剣は、相手の攻撃を一発耐えるように努力値調整をする必要がある。
火力増強アイテムを持っていないを相手として想定してダメ計すると、A233の聖剣+真空波はHに244/Bに132振れば確耐えできるが、C111のめざ炎+真空波は、HD特化しても約48.5%の確率で落とされてしまう。
このようにギリギリな耐久をしているので、対襷剣の勝率を拾いに行く場合、自分から耐久を落としに行くの採用はありえない。
よってアグロ剣は持ち物によって、対襷剣の5割の勝率を拾いに行く持ちの帯剣と、対襷剣の勝率は捨てる持ちの拘り剣に分かれる。
帯剣はさらに物理or特殊と配分によってDS物理帯剣、DS特殊帯剣、HD物理帯剣、HD特殊帯剣の4種類に分かれる。
帯剣を使うなら、①②③④のどちらかになる。
①DS物特殊剣
20-X-4-4-228-252
※太字の数値は確定の数値で、細字の数値は自由に調整が効く数値(以下同様)
ミラーを勝ちに行く最速&C111めざ炎50%耐え
②HD特殊帯剣
252-X-0-0-236-20
C111めざ炎+真空波51.56%(132/256)耐え&なるべく速く
③DS物理帯剣
20-4-4-X-228-252
ミラーを勝ちに行く最速&C111めざ炎50%耐え
④HD物理帯剣
252-0-0-X-236-20
C111めざ炎+真空波51.56%(132/256)耐え&なるべく速く
拘り剣については、ぱっと見勝率よくなさそうだったので、ほかの10種類の型の配分をすべて考えてから、それらに対して最大勝率を出せるように最後に配分を考えた。使うなら、⑤⑥のどちらかになる。
⑤AD鉢巻剣
4-236-4-X-220-44
後述するHBDオッカ剣を聖剣で43.8%で乱1(最大ダメージ)&先述したC4振り特殊帯剣のめざ炎確定耐え&なるべく速く
⑥CD眼鏡剣
4-X-4-228-220-52
先述したHD帯剣をめざ炎で確1&先述したC4振り特殊帯剣のめざ炎確定耐え&なるべく速く
2.襷剣
襷で相手の1発目の攻撃を耐えつつ、相手をめざ炎+真空波or聖剣+真空波で倒すことを勝ち筋とする。
襷による行動保障があるため耐久に振る必要が全くない代わりに、2ターン目に相手以上に速く真空波を撃つ必要があるので最速である必要がある。
よって襷剣は、物理型か特殊型かでAS襷剣とCS襷剣の2種類に分かれる。
襷剣を使うなら、⑦⑧のどちらかになる。
⑦AS襷剣
4-236-4-12-X-252
⑧CS襷剣
4-X-0-252-0-252
3.耐久剣
持ち物と耐久調整を通して、相手の聖剣+真空波orめざ炎+真空波の両方を耐えつつ、こちらの聖剣+真空波orめざ炎+真空波で相手を倒すことを勝ち筋としている。
Part.1 ダメージの確認からわかるように、火力増強アイテムがないとA特化しても聖剣で無振りの相手を倒せないので、努力値をなるべく耐久に割きたい耐久剣は、聖剣ではなくめざ炎を採用するのが基本である。
次にこの3つの道具を比較してみる。
まず特殊耐久を上げるとを比較する。
めざ炎+真空波の合計ダメージを計算すると、の方がよりダメージを抑えられることがわかるので、は不採用。(※この判断が反省すべき点の1つ)
よって耐久剣は持ち物によって、オッカ剣とヨプ剣の2種類に分かれる。
オッカ剣を使うなら、⑨⑩のどちらかになる。
⑨HBDオッカ剣
244-X-60-68-68-100-36
耐久重視の型で、実際に採用した型でもある。調整意図は後述する。
⑩CDオッカ剣
84-X-12-252-132-28
火力重視の型。調整意図は省略。
ヨプ剣を使うなら、⑪⑫のどちらかになる。
⑪HDヨプ剣
252-X-0-0-236-20
C111めざ炎+真空波51.56%(132/256)耐え&なるべく速く
⑫CDヨプ剣
84-X-12-252-116-44
調整意図は省略。
◎比較と最終選定
持ち物によって分類した12種類の型の総合勝率を割り出して表にまとめた。
計算結果によると、HBDオッカ剣の総合勝率が最も高いという結果が得られた。
ただこれは全部の型は同確率で存在すると仮定した上での計算結果であるので、最終チェックとして、本番で多いと予想できる襷剣と耐久剣のみに絞って、改めて総合勝率を計算しなおしてみる。
すると、HBDオッカ剣の総合勝率が最も高いという結果が得られた。
どっちからも同じ結果が得られたので、これは間違いないと思い、HBDオッカ剣を採用した。
技:めざ炎/真空波/ギロチン/-
持ち物:オッカの実
性格:図太い
努力値:244-X-60-68-100-36
実数値:165-X-174-88-64-134
調整意図
HB:⑤のAD鉢巻剣の聖剣を62.5%で耐え。同時に、DS物理帯剣、HD物理帯剣の聖剣+真空波を確定耐え。
HD:⑨のCDオッカ剣のめざ炎+真空波を215/256(83.98%)で耐え。同時に、DS特殊帯剣、HD特殊帯剣、AS襷剣、CS襷剣、HDヨプ剣の5種類のめざ炎+真空波を確定耐え。また、CD眼鏡剣のめざ炎を確定耐え。
C:①のDS特殊帯剣をめざ炎+真空波で確定。同時にDS物理帯剣、AD鉢巻剣、CD眼鏡剣、AS襷剣、CS襷剣の6種類をめざ炎+真空波で確定。ただし、CDヨプ剣に対してはやや有利な乱数にとどまる。
S:耐久剣の同速勝負に勝つための安心できる数値として36振り。実際本番でも耐久剣の中では、自分を除いて最速は28振りだったため正解と言える。
ダメ計結果をメモに取り、本番では与ダメや被ダメから相手の型を判別しながら試合を進めようと決めた。
といっても2ターン目にめざ炎をもう一度撃つか、それとも真空波を撃つかの違いしか生じないが。
◎結果
予選リーグではCS襷剣と、回復実(おそらく)型剣を引き、無事2-0で勝利して予選抜けとなった。
決勝トナメに進んだ後、1回戦目はシードのため休んでいましたが、2回戦目で相手の、こちらのめざ炎を2耐えするくらい耐久に厚いチョッキ剣にあっけなく負けてしまった。
ということで全部で3試合しかできず、最後あまりにもあっけなく負けてしまい、実感が湧かないまま敗退した。
ちなみに優勝者のアクセルさんが使用していたのはめざ炎/真空波/瞑想/守るの穏やか剣だった。初手に瞑想をして2回目の攻撃も耐えるようにしてから攻撃をする型だそうだ。
また、参加者17人の持ち物と型の内訳は
アグロ剣4:3、1
襷剣1
耐久剣11:3、2、4、1、1
弱保型とカムラの実型は持ち物による行動保障がないため、とりあえずアグロ剣に分類した。
まためざ炎持ち剣は16体中12体だった。これはルール発表から本番まで2、3か月間あったおかげでもあり、参加者の本気度合の現れでもあると思う。
結果として、参加者の大多数が、考察で一番勝率が高いと判断した耐久剣を使用した。当然といえば当然かもしれない。
◎反省
まず、自分の考察が全く通用しなかったのが残念だった。しかも優勝者の型が、考察で出した
①積み技を撃つ暇がない
②持ちか、持ちでHBに振るか、持ちでHDに振るか、のいずれかの行動保障がないと高い勝率は維持できない
の2点の結論をほぼ否定した型だったのがさらに悔しかった。
アグロ剣の考察で先述したように、持ち物による行動保障がなければHD特化しても、C111のめざ炎+真空波で約48.5%の確率で落とされてしまうが、公開された優勝者の調整だと、これを14/256でしか耐えない。
つまり、本番でまぁまぁいると予想していた襷CS剣に対して94.53%の確率で負けるような型が優勝したということになる。
やはりピカブイみたいなただのマッチングゲーだったのかと嘆いた...(ただの負け惜しみ)
まず「自分の考察の何が行けなかったのか」について考えてみる。
1.耐久剣の考察でめざ炎+真空波のダメージを計算した時、よりの方がよりダメージを抑えられたのでは不採用とすぐに決めつけてしまったのがいけなかった。
◎最善の型の考察のPart.1 ダメージの確認にてダメ計をしたとき、どうもカミツルギの耐久では聖剣+真空波orめざ炎+真空波で落ちてしまう、つまり基本2ターンでゲームが終わると思い込んでしまった。そのため、2ターン耐えきれば勝てるとずっと考えながら考察していた。
しかし耐久剣同士の殴り合いになると、めざ炎+真空波で試合が終わることは決してなく、めざ炎を2回撃たないといけないのが普通だ。
これもダメ計を通してわかっていたはずなのに、この事実から、実は耐久型のめざ炎の撃ち合いを考えたらよりの方がダメージを抑えられるから、耐久型同士の殴り合いが頻繁に発生するであろう本番の環境において、耐久型を採用するにしてもを採用すべきだという答えに辿り着けなかった。
2.考察段階でカバーする範囲を広く取り過ぎたかもしれない。
実際、持ちのアグロ剣を採用した人は一人もいなかった。いつもメタを考える時、無駄に広範囲にメタを貼るクセがあるのは自分でもわかっていた。
ただ、今回はそれをどうにかしようと、最終チェック段階で、本番でメジャーとなるであろう襷剣と耐久剣を対象に絞って勝率を再チェックしたが、それでもHBオッカ剣が最も勝率が高いという結果になってこの型に決めたという経緯があるので、この点は仕方ないのかなとも思う。
次に、一応弱保剣の強さを考えてみる。
今回、積み技を使う暇がない=簡単に相手より圧倒的有利な立場になる方法がないということに気づいてから、耐久型にして行動回数を増やすのが最善だという方向に考察を進めた。
でもこのメタゲームにおいて、「勝率がよくない物理型そんなにいるわけがない」、「全員がかならず初手に弱点をついてくる」、「耐久剣はせいぜい臆病めざ炎+真空波耐え程度までにしか振っていない(=弱保発動後のめざ炎をほぼ耐えない)」の3点の認識は考察を通して認識していた。
CS襷剣がいないと大胆に予想するのであれば、本番ではHD振りでほとんどの相手の1ターン目の攻撃+2ターン目の真空波を耐えられることになる。
よって、上記3点の認識と「本番どうせ火力増強アイテム持ち剣に加えて、CS襷剣もいない」という大胆な予想から、HD振りで相手の攻撃を耐えて弱保を発動させて高火力を押し付けるという、積むのに1ターンを無駄にしない強力な“積み技”を搭載した型も有りだという結論に至るべきだった、かもしれない。
ただ、弱保剣が優勝できたのは、「たまたま本番で圧倒的に不利なCS襷剣が1体のみだったという偶然がもたらした勝利なのか」、それとも「必ず本番で圧倒的に不利なCS襷剣が少ないという明確な予想に基づく約束された勝利なのか」は、よくわからない。
だから、もう一度やるにしても僕は弱保ではなくチョッキ剣を採用すると思う。
とにかく今回の反省は、前提を決めて考察を一通りし、環境に関する正しい認識を得た後、もう一度最初に決めつけた前提の正しさについて考えてみるということに尽きる。
◎感想
初めてニコニコ生放送を通して進行する大会に参加して、色々わからないことがあって大変だったが、皆さんに迷惑をかけずに大会を終えることができてほっとした。
ただ、結構時間をかけて考察したのに、あっけなく負けてしまったのがとても悔しい。しっかり考察と結果がかみ合わなかった理由を考えて反省し、そこから得た知見を次に生かしたい。
次はラブリィさん主催の「一撃祭」とせうゆさん主催の「顎の発達したポケモン1on1」の考察をしたいと思う。